*このページは主として高校生・大学1年生向けに作られたものです*
理学部・理学研究科化学教室へようこそ

化学は、しばしばセントラル・サイエンス(科学の中心)[1] と呼ばれます。名古屋大学理学部・名古屋大学大学院理学研究科化学教室(以下、化学教室)では、多様な科学の分野にまたがり教育・研究が行われています。現代化学は、新しい構造・物性を有する化合物の創成と性質の探究、生体分子の構造と反応機構の解明や生理活性物質の合成など、物質科学と生命科学の広い学術分野として裾野が広がっています。化学教室では、各基盤分野で国際的に活躍する研究者を教員として揃えるとともに、最先鋭の研究・教育環境を整えています。

[1] T. L. Brown and H. Eugene著 「Chemistry: The Central Science(『化学: ザ・セントラルサイエンス』)」

高校で学ぶ化学のイメージとはすこし違いますね…。

多くの基礎学問・技術をフル活用して様々な物質について科学できるんだ。

世界が広くて面白そうですね!私たちの社会にも強いつながりのある科学ですね。

物質を理解し、創造し、制御する。化学のパワーです!
化学科で君たちの問題解決力を高めて、せひチャレンジしてほしいな!

化学教室教員からのメッセージ

21世紀は、環境、ナノテク、バイオ、情報の時代だと言われています。現代の人類にとって、物質を本質的に理解し、新しい物質を作り出していくことが、その発展において重要な役割を担います。物質の構造、性質、反応の本質を探求し、普遍的な原理を見いだし、新しい物質を創製する「化学」は、人類の知と、豊かな未来を築く自然科学として、益々その重要性を増しています。

本化学教室は、有機化学、生物化学、無機化学、物理化学といった、伝統的な化学の学問体系を基礎としながら、物理学、生物学、地球科学、材料科学などの理学各分野と連携し、そして工学、農学、薬学、医学などの応用分野との交流を通じて新しい分野を切り開くことで、世界に冠たる研究成果を生み出してきました。皆さんよくご存じのように、今世紀最初のノーベル化学賞が反応有機化学の分野を長くリードされてきた野依良治特別教授に授与されました。また、現代生命科学研究に革命をもたらした蛍光タンパク質GFPの発見により、本化学教室で学位を取られた故下村脩先生に、2008年のノーベル化学賞が授与されました。これらが物語るように、新物質の創製や新現象の発見は、我々の知的好奇心を満たし、深い感動を与え、その知は広く科学・技術の発展にインパクトを与えます。

化学教室のすべての研究室は、それぞれの分野で世界の第一線で研究を展開しています。志を高くもつ学生諸氏が、知的好奇心をもって次世代を切り開く最先端の化学にチャレンジする土壌が整っています。教育面においては、総合的な基礎学力の養成だけでなく、チャレンジ精神にあふれ、国際的に活躍できる次世代を担う人材育成に力を入れています。このホームページでは、化学教室が誇る充実した教育・研究環境やアクティビティの高さを紹介しています。本化学教室は新しい物質科学の扉を開きたいという志を持つ若い人々に広く門戸を開いています。

The Chemistry Department Building

化学教室の建物

化学教室は3つの立派な建物を主に利用しています。すべて東山キャンパス内に位置し,隣接しています。研究室はこれらの建物内に収まっています。恵まれた研究環境が整備されています。

理農館

2011年完成 6階建

化学教室のフラッグシップ的な建物です。6研究室が入っています。また、化学事務と学部3年生の学生実験室があります。

野依記念物質科学科研究館

2004年完成 7階建

野依良治先生のノーベル賞受賞を記念した研究館です。ガラス張りとコンクリ―ト打ちっぱなしのスタイリッシュなビジュアルの建物です。120名収容可能な講演室と、連動してポスターセッション等を開催できるケミストリーラウンジがあります。卒業研究発表や研究会議などに利用されます。化学教室の4研究室が入っています。

トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)棟

2015年完成 6階建

トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)は世界トップレベル研究拠点(WPI)の一つとして名古屋大学に設立されました。化学教室に関連する建物の中で最も新しい建物です。合成化学と生物の先端的な融合研究の舞台として、世界トップレベルの研究が推進されています。化学教室の3研究室が入っています。

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Q&A

Q&A

化学科で学んだことは今後社会でどのように⽣かすことができますか?

化学は物質の科学です。物質によって⼈間社会・経済活動は成り⽴っています。従って、化学の知識や技術は社会へのコミットに必ず関わります。
さらに、サイエンスの先端を追求する⼤学の化学は、修得には広く深い基礎学⼒が必要になります。その修学には、⾼いレベルの思考⼒や発表⼒を養うことが可能です。この基礎⼒は、今後の⻑い⼈⽣で、様々な局⾯で活躍するでしょう。精進あるのみですが、化学は物質科学の奥深さ、不思議さ、達成感を感じる学問で、多くの多様な知的な刺激を受けることができるでしょう。

化学と⽣物の複合領域を学びたいと思っているのですがどのような研究や関わり⽅が出来るかを教えていただきたいです。

化学科の研究室には、化学と⽣物の複合領域を⾏っている研究室は数多くあります。アプローチも様々です。化学はセントラルサイエンスとも⾔われ、他分野との融合研究が⾃然に⾏われます。
当学科に進学することがあったら、授業終わりに講師に声をかけるなどして話しをきくのはどうでしょうか。
⻭ごたえがありますが、論⽂を読むのが最も詳しく研究内容を知ることができる⽅法です。

企業との共同研究はありますか?

化学科の多数の研究室が企業と共同研究をしています。会社は様々です。研究によっては、学⽣が参加することもあります。

化学科では、研究は何年⽣から始めることができますか?

研究室に配属できるのは4年⽣からです。4年⽣への進級には3年⽣学⽣実験の単位を取る必要があります。研究室で安全かつ適切に研究をするための基礎訓練を⾏い、レポートのまとめ⽅を修得します。

この学部から製薬会社に就職して、薬の開発をすることができますか? 薬学への関連は? 薬剤の勉強はできますか?

薬剤を中⼼とするわけではないですが、関連する内容を学びます。特に、有機化学、⽣物化学、計算科学などは医薬品の開発においては⾮常に重要であり、関連した授業があります。また、卒業研究や⼤学院での配属では、医薬品開発の基礎となる技術や、⽣理活性を⽰す化合物の開発を研究している研究室があります。また、製薬会社の創薬ビジネスが昔とは形態が異なってきていることにも注意しましょう。薬の開発には博⼠レベルの知識や技術を持った⼈材が必要とされています。

⼯学部の化学⽣命⼯学科と理学部化学科、⽣命理学科の違いは何ですか? ⽣命理学科で⾏う研究との違いなどが知りたいです。

⼯・化学⽣命⼯学科と理・化学科は化学を、⽣命理学科は⽣物学を中⼼とした学科になります。また同じ化学を対象としてますが、⼯学部では中で有機化学、物理化学、⽣命化学などからなる3つの分野・専攻に分かれているのに対し、理学部化学科は有機化学、無機化学、物理化学、⽣命化学を専⾨とする研究室が1つの学科・専攻内に集まっていることが⼤きく違う点として挙げられます。

理学部化学科と⼯学部の化学系とのカリキュラムの違いは何ですか?また,所属によって就職活動での進路に影響がありますか?

理学部化学科と⼯学部化学系のカリキュラムはホームページなどで確認できますが、大学の化学の基礎をきっちり学ぶという点では大きな違いはないでしょう。化学教室の教員も理学部出身と工学部出身さまざまです。ただ,理学部は系統的なカリキュラムを提供できるように心がけています。

就職活動での進路就活が理学部の化学出身か工学部の化学出身かで違うということは現状はありません。高校の先生が有利不利をおっしゃっていたら、それは化学の現状では当てはまらないと思ってください。

理学・化学教室の恵まれた環境を活かし、如何に知識や思考⼒、発表⼒、学部・修⼠レベルの問題解決⼒を獲得・修得できるかが⼤⼈としてのポテンシャルを決めると考えています。改めて断ることでもないかもしれませんが。

私は今、化粧品の研究開発者に興味があるのですが、この学部からそのような就職をされる⽅はどのくらいいますか?

私の知っている限りでは、例年2名程度です。⾔えることは、理学部から化粧品会社の研究開発職に就くことは可能です。私⾃⾝、⾼校⽣の頃から化粧品業界を⽬指してこの学部に⼊学しました。実際に就活を経験し、化粧品業界に関しては(化粧品研究に直結する学部がないので)理学部・⼯学部・農学部・薬学部出⾝と⾨⼾が広く、学部による優位性は特に無いように感じました。
製薬会社や化学メーカーに⽐べて、化粧品会社の研究開発職は採⽤⼈数が少ないです。ただ、化粧品業界を志望する⼈も実際に就職する⼈も、理学部全体としては相対的に⼩さな割合です。 (回答者︓修⼠2年⽣)

理学部は他学部と比べて就職に不利と言われることがありますが,どうですか?

化学科に関しては、化学という学問の性質上、「理学=社会と解離」という図式は当てはまりません。理学的な目線で真理・道理を追求できるという卓越した化学人材は先端的な企業・スタートアップで引く手あまたです。アカデミック・学者への道も目指せるでしょう。もちろん、どのケースでも学問や研究に没頭した結果ととしてです。

博士号というものに興味があるのですが。

博士号の取得者とは、自分自身で問題に着目・発想し、課題解決のための研究を行い、論文発表・プレゼンにまで結び付けられる能力を獲得したと認められた人のことを意味します。学位であって、資格とはやや意味がちがうものです。研究室での研究をこなしながら研究力を高めていくことで、博士研究者・専門家としての能力を獲得していきます。各研究室ではそのための教育・トレーニングが施されます。実際学生は、研究の進展の1ページ1ページを噛みしめながら、こつこつと自分の力を積み上げていきます。そして修士を含めると5年の研究生活で実力をつけて大きく育っていきます。このような積み上げができるのも研究の楽しさややりがいを感じ、研究に没頭できるからです。とはいえ博士号取得は研究者人生の始まりです。それ以降もキャリアに磨きをかけていきますが、実力が備わっていればこそ次の成長に繋げられると言えるでしょう。

博士号をもつメリットは何ですか?

現在,学術・産業分野では知識・技術の高度化・細分化が進み、イノベーションを生み出せる博士号を有する人材は、その重要度と付加価値をますます高めています。博士号は世界でも通用します。例えば、博士研究員として海外の研究機関で働くポジションに手を上げることができます。企業でも研究開発のコアに携わたいのであれば博士号は必須と言えるでしょう。博士号取得する優秀な研究者は、先端的研究開発を行いたい企業に引く手あまたであり、将来リーダー的人材になっていくでしょう。化学教室も博士育成を重要なミッションと捉え、充実した教育環境を整えて、予算獲得や他では見られない試みにも取り組んでいます。

理学部で理科の教員免許はとれますか?

教員免許状は取ることが可能です。
理学:理科
⼯学:なし
名⼤の関連HP「取得できる免許状/資格」

理学は教員になる学部というふうに捉える高校生が時々いらっしゃいますが,それは誤解です。卒業生の進路をみると分かりますが,多様な分野の会社,研究職など,様々な将来の方向で卒業生は巣立っています。卒業生の中には教員免許のための単位を余分に取得しそれを活用して一選択肢として学校教諭の道を選ぶことができています。

Q&A with Prospective Students

受験生との一問一答

化学科の実情を知るためには、受験生への質問に応えるのが一番。ここでは、高校生の受験生への質問に化学科のメンバーが回答を行いました。

一問一答 高校生&教授&学生 メンバー
O君(高校生)
Sさん(高校生)
化学科M教授
化学科X教授
K君(4年生)
Tさん(大学院生)
名古屋大学の理学部化学科に興味をもっているのですが、内容を説明していただけますか。 O君(高校生)

この学科の教育の特色を一口でいうと、徹底した少人数教育の実践です。学科定員は50人ですが、それに対して35人の教員がいます。4年生では1年間の特別実験があり、各研究室に配属されて実験の指導を受けるようになっています。 その際、教員が各々の学生の個性を生かした教育をするようにつとめていますので、意欲ある学生には学びやすい体制だと思います。卒業生の社会的評価が高い例が多いのもこのような教育体制が寄与しているものと自負しています。

化学科M教授

3年生の時は実験の時間が多くレポートが大変でしたが、4年生になって研究室に配属になってからは、自主性を尊重した教育、研究指導が行われているので、腰を落ち着けて勉強しています。

K君(4年生)

化学科のもう一つの特色は、研究の環境、設備、業績、どれをとっても国際水準を超えているということです。化学の勉強を深く進めたい学生にとっては、恵まれた環境だと思います。

化学科M教授
高校の教科書を見ると、化学は暗記物のように思えてあまり興味を感じないのですが大学ではどうでしょうか。 O君(高校生)

それは誤解があります。大学の講義では分子構造のような化学の基本となる考え方がすぐに出てきて、高校の化学とは 随分感じが違います。今はどの分野でも理論的基礎から積み上げて勉強しないと先に進めません。大学に入ってからも、 化学はいうまでもなく物理学、数学、生物学、地学などの広い勉強が必要です。

Tさん(大学院生)

化学の勉強では、いろいろな実験を経験してそこで起こっていることをよく観察し、深く考えることが大切です。自 然科学のどの分野でも同じことがあてはまるのでしょうが、化学では特にそれがいえます。身近な現象でもその背景には重要な学問的意味があることが多いと思います。ある実験を進めている過程で思いがけない新事実が見つかったり、 新たな着想が芽吹くことは化学では決して珍しくないのです。

化学科M教授
同じ名古屋大学の中に工学部・農学部にも化学関連の学科がありますが、理学部の化学科とどのように違うのでしょうか。 Sさん(高校生)

理学部では学問の基礎とする立場から研究・教育にあたっています。
「地球環境の危機」が真剣に論じられている現在では、視野を広く取った基礎研究が重要であることは議論の余地はありません。ときには、現在当然と思われていることに疑問をもたねばなりません。「フロンの危険性」の指摘は、地道な基礎研究に基づく鋭い考察から生まれました。化学の基礎研究を担う理学部が学問の進歩に果たす役割は大きいと思います。

化学科X教授
理学部では大学院に進学する場合が多いそうですが、どういう理由でしょうか。 O君(高校生)

卒業後も研究をしたい、研究者になりたいと思い、さらに化学の勉強を続けることを希望する学生が多いことがあげられます。正直なところ、学部の4年生までに自分に合った場所を見出すのが困難な場合もあるでしょう。大学院に進んで、ようやく自分の適性に気付くのは珍しい例ではなく、健全なことだと思っています。名古屋大学理学部では1年生終了時に学科への分属が決まります。世間の評判や周囲の雑音に影響されずに、自分の判断で進路を決めましょう。遅すぎると考えてはいけません。その後も常に悩みながら人生を送るのが「青春」の特権ではないでしょうか。一度しかない「青春」のかなりの部分を過ごすにあたり、後に悔いが残らないような決定をして欲しいと思います。どの専門に進んでも、その中に自分の能力と可能性を伸ばせる余地が秘められていることを、一時も忘れないでください。

化学科X教授
大学院まで視野の中に入れて進路をじっくりと考えたいと思います。ありがとうございました。 Oくん・Sさん

Organization

組織

化学教室には、理学研究科物質・生命化学領域、物質科学国際研究センター、トランスフォーマティブ生命分子研究所、学際統合物質科学研究機構を中心とする教授・准教授・講師・助教、大学院生(博士前期・後期課程)および研究生、学部学生(2〜4年生)がいます。
化学の各分野の教育と研究は、分子組織化学、無機化学、生物無機化学、有機化学、機能有機化学、特別、生物有機化学、光物理化学、物性化学、量子化学の10研究室および1グループの教員によって行われています。

化学教室の各研究室は、研究教育の両面において物質科学国際研究センターおよび学際統合物質科学研究機構と密接に連携を保ちながら運営されています。このほかに、研究室・グループへの支援組織として、化学事務室、理学図書室、ガラス工作室、化学測定機器室、G30があります。

Education and research activities

教育研究活動

化学教室では、様々な外部資金による教育研究活動を展開しています。

物質科学国際研究センター

平成10年度に、化学の研究室が中心となって、物質科学国際研究センターが発足しました。このセンターは、新しい物質の創造とその機能の解明を目指して創立されたセンターで、有機物質合成研究、無機物質合成研究、物質機能研究、生命物質研究、分子触媒研究の5分野と化学測定機器室を中心に研究活動を行っています。

リンク:https://www.rcms.nagoya-u.ac.jp/

 

トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)

トランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM)は平成24年秋に世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)に採択され、発足した国際研究拠点です。分野や研究室間の壁を排除したMixラボ・Mixオフィスを設置し、「分子で世界を変える」というスローガンの下、合成化学、植物科学,動物科学、理論科学の分野で世界をリードする研究者が世界中からひとつ屋根の下に集っています。既存の学問分野の壁を超えて分野融合研究に取り組み、我々の生活を大きく変える生命機能分子、すなわちトランスフォーマティブ生命分子を世に送り出すべ<、日々わくわくしながら研究に取り組んでいます。

リンク: https://www.itbm.nagoya-u.ac.jp/ja/

 

学際統合物質科学研究機構

令和4年度に、化学の研究室が中心となって、物質創製化学に強みをもつ北海道大学、京都大学、九州大学と横断的に連携する研究組織として設立しました。本機構には、4大学の物質創製分野に関わる研究所(名古屋大学物質科学国際研究センター、北海道大学触媒科学研究所、京都大学化学研究所附属元素科学国際研究センター、九州大学先導物質化学研究所)がコアとなり、総勢120名に及ぶ研究者が参画しています。これほどの大規模な大学横断的組織を1大学へ設置するのは、名古屋大学としても初めてとなりますが、融合フロンティアの開拓と若手人材の育成に向けて連携した上で、その成果を関連分野や産業界等に還元していくといういわば社会貢献の側面も有しています。

リンク:https://irccs.nagoya-u.ac.jp/

 

卓越大学院プログラム「トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院プログラム」

社会の持続的な発展には、環境・エネルギー問題の解決や安定した食料生産、産業技術革新につながる物質創製、健康に資する生命科学など克服すべき課題が多く、化学・生命料学研究の担う役割はますます大きくなっています。こうした社会や料学が直面する問題にブレイクスルーを起こすには、各々の分野で研究を発展させるだけでなく異なる分野間の融合領域を開拓し、新たな地平を切り拓くことが必要です。トランスフォーマティブ化学生命融合研究大学院ブログラム(GTR)では、5年一貫の博士課程学位プログラムにより化学・生命科学分野における「融合フロンティアを拓き、未来の知を創出できる研究人材」の育成を目的としています。広い分野をカバーする基礎、先端コースワークに加え英語研修、各種セミナー、リトリート合宿等を実施し、高度な専門性や幅広い知識、研究を前に進めるのに必要な研究総合力を養成します。さらに特徴的な取り組みとして白ら融合研究を提案し、それを異分野環境でかつ異なる分野のダブルメンターによる指導のもとで実施することにより、融合フロンティアを切り拓いていく真の研究突破力を獲得する実現の場を提供します。

リンク:https://www.itbm.nagoya-u.ac.jp/gtr/

 

その他支援組織

ガラス工作室(大学院理学研究科 技術部)

ガラス工作室では、研究者との密なコミュニケーションにより、ビーカー・フラスコ・試験管などの一般品だけではなし得ない研究の目的に沿ったオリジナルの器具や装置の製作を行っています。また、化学科3年生を対象としたガラス実習・若手研究者を対象とした夏期ガラス実習などを行い、ガラスについての基礎知識習得のための教育にも貢献しています。ガラス加工技術は全国の大学でもトップクラスであり、多方面にわたる技術交流・情報交換を基に化学教室をはじめ名古屋大学全体の教育研究を下支えしています。

 

 

理学図書室(大学院理学研究科 事務部)

名古屋大学図書館の分室として、特に理学に関わる電子ジャーナル・書籍等を中心に収蔵、管理しています。研究用の書籍はもちろんのこと、学生の勉学のための教科書や参考書も充実しています。また、夜間開館日もあり、教職員及び学生への利便性の向上に努めています。

 

 

Educational philosophy (with a focus on graduate school)

教育理念(大学院を視野に)

化学教室の研究室は、物質や自然の理を解き明かそうとする知的好奇心と、自由な発想と柔軟な思考力の上で新物質・新物性を開拓し自然の理を解明することのできる専門性と独創性をもつ人材育成を教育目標にしています。自然科学に対する幅広い知識とともに、化学の各専門分野における専門基礎知識、研究遂行能力ならびに研究発信力を併せもつ人材を育成することを教育目的としています。

現代の物質社会は、化学・物理学・生物学・農学・医学・薬学などの発展に支えられています。なかでも化学の役割はいっそう増大し、化学研究の発展なしには快適で生きがいに満ちた生活を送り続けることは困難になるでしょう。一方で人類は、地球規模での環境問題、資源、エネルギー及び食料の不足への対応など、これまで経験したことのない難問に直面しています。その解決に向けては、化学「研究者」の役割がますます重要となるでしょう。

一方で原子・分子のレベルで自然と対話し、自然を理解し、そしてその知識をもとに新たな物質をつくる喜びが化学の源流です。学問としての化学が発達したのは、この200年ほどのことです。原子、分子の考え方が発見されたのは19世紀の初めであり、それらの実体が明らかになったのは20世紀にはいってからです。この間各種の分子の構造が解明され、有用な物質が次々と合成されるようになって、現在の物質科学の基礎が築かれてきました。現在では、複雑な分子が反応する際の細かな電子構造の変化に至るまで、詳細に解明されるようになってきています。

化学に共通する考え方は

様々な存在状態の物質の構造、物性、反応性を研究して
構造と機能の関係を明らかにし、さらに新しい物質を見つけ、新規設計し、作り出す

ことです。化学教室ではこれらの各分野に関する総合的な基礎教育が行われており、大学院生や学部4年生は最新の実験装置と理論を用いて研究を行っています。その成果は数々の研究業績として世界に広く発信され、そのインパクトの高さと屈指の研究レベルは、世界中から高く評価されています。

「自然の現象」あるいは「物」の性質に興味を持てるかは、化学を学び・研究するにあたっての重要な資質でしょう。分子・物質の性質に興味を持ちその面白さに魅せられて、化学の「研究」に打ち込んでみたい、「大学院」にも進学してサイエンスを楽しむ醍醐味・ワクワクを味わいたい、と思うような学生が化学科に向いているでしょう。

化学教室は、化学の研究と教育を通じてその学理の確立と発展に邁進しつつ、多くの熱心な学生が進学してくることを期待しています。

History

沿革

化学教室の歴史は、名古屋帝国大学の創設(昭和14年)および理学部化学教室の開設(昭和17年)までさかのぼることができます。新制大学への移行の後、化学に対する多様なニーズに対応できるよう順次研究室が増設され、教員の増強と研究教育施設の改善が成され、その間多くの卒業生を産・官・学界に送り出してきました。

その後、平成8年度に大学院重点化が施行され、従来の理学部教員組織は理学研究科に移行し、新部局として発足しました。その際、新しい物質と機能の創造という見地から、化学科の全研究室と物理学科の物性物理学、生物物理学の研発室が一体となって物質理学専攻が作られました。化学教室の教員は大学院理学研究科に所属し、物質理学専攻化学系の研究教育を担当するとともに、理学部化学科の教育にも責任を持つことになりました。時を前後しますが、平成7年度には中核的拠点形成(COE)プログラムがスタートしました。このCOEプログラムでの卓越した成果が認められ、平成10年には物質科学国際研究センターが創設されました。

また、平成12年度には、物質理学専攻が第1回の教育研究拠点形成支援経費(教育COE)に採択され、大学院生の顕著な研究成果に対する顕彰制度の発足や図書の整備などが成されました。さらに、平成14年度から18年度までは、21世紀COE形成プログラムが、平成19年度から23年度までは、グローバルCOEプログラムが、そして、平成23年度から30年度までは、博士課程リーディング大学院が採択され、博士後期課程に在学する大学院生への様々な支援体制が敷かれました。
また、平成24年度にスタートしたトランスフォーマティブ生命分子研究所(WPI拠点)には、化学から拠点長を含む3名の教授がPIとして参加しています。
平成30年度には卓越大学院プログラムが採択され、異分野融合研究を大学院教育に組み入れる人材育成が部局横断的に実施されています。また、令和4年度には学際統合物質科学研究機構が開設され、大規模な大学横断的組織を一大学へ設置する研究組織を立ち上げました。

このように化学系研究室では、研究・教育両側面での整備を着実に進め、国内外を通してトップクラスの研究・教育環境を実現してきました。