UNDERGRADUATE COURSE

学部生カリキュラム

化学の研究は多様な分野をカバーします。学部では、有機化学・無機化学・分析化学・物理化学・生物化学など多様な科目について総合的な基礎教育が行われます。4年生では研究室配属があり、先端的研究に取り組みます。

1年生

名古屋大学理学部では、1年生の間はどの学科にも属さず、広く様々な教科を学習します。
化学の講義として化学基礎Ⅰ、化学基礎Ⅱ、化学実験が開講されます。全てを化学科の教員が担当します。特に実験・観察は研究の原点であります。実習の時間を大切にして、注意深く実験を行い、素朴な疑問も十分理解するまで追求する姿勢を養います。
数学、物理、生物などの化学の基礎として必要な講義や実習を受講可能(一部必須)です。英語などの語学の能力は今のグローバル社会では不可欠です。日々鍛錬です!

2年生

2年生からは各学科へ分属(化学科:定員50名)が行われ、全学教育に加えて化学の本格的な専門教育が始まります。主として選択必修科目の講義を通じて、有機化学・無機化学・分析化学・物理化学・生物化学の基礎を徹底的に学びます。セミナー・演習形式の授業(「化学講究」)が開講され、少人数のグループによる、きめ細かい指導がなされます。
4年生に研究室で卒業研究を始めるには、これらのほとんどの科目に合格していなければなりません。また、教職関連の科目はできるだけ早く履修しておくことを推奨しています。

3年生

3年生では各専門分野の進んだ知識を習得できるよう、より進んだ講義メニューが用意されています。各分野における特定のテーマに関した選択科目を受講します。さらに掘り下げた議論を通じて高度な知識と考察力を養うことを目的としています。
月〜金午後は「学生実験」(必修科目)に当てられ、化学実験(有機化学・無機化学・分析化学・物理化学・生物化学)を通じて、化学実験の基礎技術を習得し、物質の反応や合成などを実地に体験できるよう配慮されています。

4年生

4年生をむかえ、要件を満たすと研究室配属されて卒業研究(特別実験)を行うことになります。卒業に向けた本格的な研究生活が始まります。
大学院へ進学し研究活動を続けることを希望する学生は4年生の夏に大学院入試を受験します。

Lecture

講義

化学科では幅広い知識を結集して、物質の問題に取り組みます。
よって、大学の化学を系統的にしっかり習得してもらうことを基本姿勢としています。
有機化学、無機化学、物理化学、生物化学など幅広く、世界標準レベルの大学の教科書
を利用してかなりの時間をかけて教育しています。

 

有機化学I
多岐にわたる有機化合物の特徴を捉えて化合物群別に分類し、それらの構造と性質、反応、合成に関する基礎的な論理を学ぶことにより、有機化学に関する基礎知識を身につけるとともに、物質科学、合成化学に関する広い視野の育成を目指す。
【教科書・テキスト】 ボルハルト・ショアー現代有機化学 第8版(化学同人)
無機化学I
全ての化合物は、周期表にある元素の組合せによって作られている。無機化合物の構造や性質、反応性を理解するために必要な基礎概念として、原子の性質、分子結合、分子軌道、分子構造、原子核の性質、分子の対称性、金属やイオン固体の結晶構造の基礎について学習する。
【教科書・テキスト】ハウスクロフト無機化学(上)
量子化学I
原子・分子の微視的世界を記述するための量子力学を学び、それを化学の諸問題に適用し、原子や分子がどのようにでき、どのような構造や性質をもつかを理解する。化学結合の様式や分子の形を決める機構などが量子力学を用いてどのように記述されるかを習得する。
【教科書・テキスト】マッカリー・サイモン「物理化学―分子論的アプローチ」上
生物化学I
生物を構成する物質の構造,性質,反応を理解し,生命現象を分子レベルで理解する基礎を修得することを目的とする。
【教科書・テキスト】 ヴォート「基礎生化学 第5版」
3年生 学生実験

化学科の授業の真骨頂は「3年生学生実験」です。これはどの卒業生からも聞かれる言葉です。
3年生の月~金の午後は、この学生実験に取り組み教科書の理解をさらに深めます。研究室に所属する前の、実験をする基本的姿勢や技術、安全対策などを学びます。

そして3年生学生実験ではレポート提出があるので、レポートにまとめる力を鍛えることができます。この力は実社会にも要求される力です。よって、大学の化学を系統的にしっかり習得してもらうことを基本姿勢としています。

3年生 学生実験
4月
  • ガイダンス
  • 安全講習
  • ガラス工作実習
4月~5月
  • 分析化学実験
5月〜6月
  • 無機化学実験
6月〜7月
  • 有機化学実験
10月
  • 生物化学実験(生物化学・生物無機化学)
11月~1月
  • 物理化学実験(物性化学・光物理化学・量子化学)
4年生 研究室配属

4年生への進級条件を満たすことができると研究室に配属されます。研究室は希望調査をとって割り振りが決められます。特別実験いわゆる卒業研究に取り組みます。研究室の教員の指導の下で、化学の特定の問題について研究を行います。

自然現象の中からどのようにして真理を見出すかについて、貴重な経験をすることができます。4月からおよそ1年間、研究生活を送ります。

約1年間の卒業研究のまとめとして2月下旬に報告書(卒業論文)の提出が求められます。また、3月初旬に発表会が開かれ口頭発表を行います。

ICTシステム

オンライン上での教育学習支援システム(TACT)が大学によって提供され、化学科の授業で活用されています。たとえば、電子資料の配布やレポートの提出、教員への質問・メッセージ送信など、利便性の高いICT環境が整えられています。

東海国立大学機構は、マイクロソフト社との間で包括的なライセンス契約を結んでおり、名古屋大学の学生は、同契約に含まれる様々なソフトウェアやサービスを利用することができます。

TACTシステム
Microsoft 365 サービス
化学科コースツリー(R5年度)
そして、大学院への進路…

科学と技術の進歩は目覚しく、大学を卒業して先導的な化学研究の仕事に就きたいと希望する場合には、大学院で勉学及び研究活動を続けることが強く推奨されます。2019年〜2021年の3年間の集計によると、化学科の卒業生の85%以上が大学院に進学しています。この高い進学率は、次代を担う化学者を期待する教育者側の熱望と学生の意欲と共に、社会的な要望、とくに豊かな発想力と創造力を期待する公立の研究機関や産業界側の要求でもあります。

化学教室の大学院は理学研究科の1領域として存在します。その教育課程は博士課程と呼ばれ、前期課程と後期課程から成ります。前期課程を修了した者には修士の学位が授与され、さらに後期課程、約3年で博士(理学)の論文審査が受けられます。博士前期課程の入試は7〜8月に実施されます。学部4年生のときに受験し翌年大学院入学となります。他大学の受験生にも開かれており出願・受験することができます。

「博士号」をもつ人材の創出は当大学院教育の重要なミッションの1つです。高度な先端的学術研究を主体的に進められる人材の育成を目標としており、そのための卓越した研究体制が整えられています。また、日本学術振興会の特別研究員制度、本学メイク・ニュー・スタンダード次世代研究事業など将来の博士研究者をサポートする奨学金制度への応募も可能です。